
投稿日:2025.08.29 最終更新日:2025.09.29
ゴルフ向け体幹トレーニング、その常識が間違い?ゴルフの飛距離が変わる「腹圧」と「回旋」の使い方

「ゴルフの飛距離を伸ばしたい」「スイングを安定させたい」という想いから、体幹トレーニングに取り組んでいる方は多いのではないでしょうか。
しかし、よかれと思って続けているそのトレーニング、実はかえってゴルフのパフォーマンスを下げてしまっているのかもしれません。
この記事では、多くのゴルファーが陥りがちなトレーニングの落とし穴と、ゴルフに本当に効く体幹の使い方を分かりやすく解説します。
- やってはいけないNG体幹トレーニングの具体例
- 飛距離と安定性を生む「体幹」の本当の役割
- 自宅で3分でできる、ゴルフのための体幹メニュー
- あなたのトレーニング効果を最大化する秘訣
「トレーニングしているのに、なぜか上達しない…」そんな悩みを、この記事で解決します。

岩田 啓佑
元「NSCA-CPT(認定パーソナルトレーナー)」保有者。会社員時代、仕事での挫折をキッカケにトレーニングを開始。同時にスポーツクラブでの勤務を始め、フィットネスの世界に。 趣味は将棋、ゴルフ、スノーボード、ドラムなどなど
目次
【まずは確認】ゴルファーが陥りがちな危険な体幹トレーニングとは?
多くのゴルファーが、飛距離アップやスイングの安定を目指して体幹トレーニングに取り組んでいます。 しかし、その中には、実は怪我のリスクを高め、かえってスイングを壊しかねない「危険なトレーニング」が少なくありません。
ここでは、代表的な2つのNG例を見ていきましょう。
NG例1:腰を痛める危険なプランク
体幹トレーニングの王道ともいえるプランクですが、一歩間違えると腰を痛める危険なトレーニングに変わってしまいます。
特にゴルファーが注意したいのが、お腹の力が抜けて腰が反ってしまうフォームです。この状態では腹筋が正しく使われず、腰の力だけで体を支えようとするため、腰椎に過度な圧力がかかってしまいます。
体幹を鍛えるつもりが、これではかえって腰痛の原因になりかねません。
NG例2:ゴルフスイングを固める腹筋運動
昔ながらの上体を起こす腹筋運動(シットアップ)も、ゴルファーにとっては逆効果になることがあります。
このトレーニングは、お腹の前面にある腹直筋、いわゆる「シックスパック」を作る筋肉をカチカチに固めてしまいます。しかし、ゴルフのスイングで重要なのは、体をしなやかに「回旋」(かいせん)させる、つまり体をねじる動きです。腹直筋を固めすぎると、このスムーズな回旋が妨げられ、スイング全体がぎこちなくなってしまうのです。
専門家の中には「何百回腹筋をしてもゴルフはうまくならない」と断言する人もいるほど。ただやみくもに固めるだけでは、ゴルフに必要な「動ける体幹」は手に入りません。
そのトレーニングは逆効果?ゴルフにおける体幹の本当の役割
では、なぜ一般的な体幹トレーニングが、ゴルファーにとっては逆効果になってしまうことがあるのでしょうか。
それは、多くの人がゴルフスイングにおける「体幹の本当の役割」を、正しく理解していないからです。ゴルフの体幹は、ただガチガチに固めるためのものではありません。
役割1:体幹は「固定」ではなく「回旋」のエンジン
ゴルフスイングのパワーは、地面を蹴る下半身の力から生まれます。その力を腕やクラブに無駄なく伝えるためには、体幹がしなやかに「回旋」し、エネルギーの通り道になる必要があるのです。
もし体幹をガチガチに固めてしまうと、このスムーズな力の伝達が妨げられ、せっかく下半身で生み出したパワーが上半身に届きません。これでは、いくら腕の力に頼っても飛距離は伸び悩んでしまいます。
もちろん、スイング中に軸がブレないように「耐える力」も必要ですが、それは「固定」とは違います。しなやかに、かつ力強く回旋するための安定性こそが、ゴルファーの体幹には求められるのです。
役割2:飛距離アップの鍵は「腹圧」にあり
そしてもう一つ、体幹の回旋を強力にサポートするのが「腹圧」です。腹圧とはお腹の中の圧力のことで、いわば「天然のコルセット」のような役割を果たします。
この腹圧を高めることで、体幹が内側からグッと支えられ、まるで体の中に一本の芯が通ったように安定します。この「安定した筒」があるからこそ、体幹はブレることなくスムーズに回旋でき、下半身の力を逃すことなく爆発的なパワーに変えられるのです。
逆に、腹圧が抜けたフニャフニャの体幹では、力はあちこちに分散してしまい、飛距離は生まれません。近年のプロゴルファーの多くが、この腹圧を意識したトレーニングを取り入れていることからも、その重要性がわかります。
【自宅で3分】ゴルフの軸を作る「軸ブレ防止」トレーニング
ここからは、これまで解説してきた「回旋」と「腹圧」という2つの要素に焦点を当てた、自宅でできる簡単なトレーニングメニューを紹介します。 どちらも3分もあればできる手軽なものですが、ゴルフの「軸」を作る上で非常に大切な動きです。
メニュー1:腹圧を高める「バルーニング呼吸法」
まずは、腹圧を高める感覚を養うための呼吸法です。 風船を使うことで、誰でも簡単に腹圧を意識できます。
- 仰向けになり、両膝を90度に曲げて足を浮かせます。
- 腰と床の隙間を埋めるように、お腹に軽く力を入れます。
- その状態をキープしたまま、風船を全力で膨らませます。息を吐き切ることがポイントです。
- 一度風船の空気を抜き、3〜5回繰り返します。
風船を膨らませることで、普段は意識しづらい「お腹の奥から息を絞り出す感覚」=「腹圧がかかる感覚」を掴めます。
もし風船がなければ、口をすぼめて「ふーっ」と長く息を吐き切るだけでも構いません。
このトレーニングの目的は、意識的にお腹の深層部にあるインナーマッスルを使い、腹圧を高める感覚を脳と体に覚えさせることです。この感覚が分かると、スイング中に体幹が安定し、下半身で生まれたパワーを逃さずに上半身へ伝えられるようになります。地味な動きですが、力強いショットを生み出すための、すべての土台となる重要なトレーニングです。
メニュー2:回旋力を生む「胸椎ローテーション」
次に、スイングのしなやかさを生み出す、背骨のトレーニングです。 特に、背中の真ん中あたり(肩甲骨の間)にある背骨、「胸椎」(きょうつい)の柔軟性は、スムーズな回旋に欠かせません。
- 四つん這いになります。肩の真下に手、股関節の真下に膝がくるようにします。
- 片手を頭の後ろに添えます。
- 息を吐きながら、頭に添えた手の肘を、反対側の腕の内側に入れるように体を捻ります。
- 次に息を吸いながら、今度は肘を天井に向かってぐっと持ち上げ、胸を開きます。
- この動きを、左右それぞれ10回ずつ繰り返します。
ポイントは、腰から下をなるべく動かさず、胸から上だけを回旋させること。 固まりがちな胸周りの筋肉がほぐれ、捻転の可動域が広がるのを感じられるはずです。
ゴルフスイングでは、上半身と下半身の「ねじれの差」、つまり「捻転差」(ねんてんさ)が大きいほど、しなったゴムが元に戻るような強いパワーが生まれます。このトレーニングは、その捻転差を生み出すために不可欠な、胸椎の柔軟性を高めるのが目的です。多くのゴルファーは胸椎が硬く、無理に腰で回旋しようとして腰痛を引き起こしたり、スイングアークが小さくなって飛距離をロスしたりしています。この動きで胸椎の可動域を広げることで、腰への負担を減らしつつ、より大きくしなやかなバックスイングが可能になり、結果としてヘッドスピードの向上につながります。
トレーニング効果を最大化するならプロに相談が近道
今回紹介したメニューは、自宅で手軽にできる非常に優れたトレーニングです。 しかし、その効果を最大限に引き出し、さらなる上達を目指すのであれば、「体のプロ」の視点を取り入れることをおすすめします。
あなたの体のクセをプロが見抜けば、トレーニング効果は劇的に変わる
自己流のトレーニングで最も難しいのは、自分自身の体のクセやフォームの間違いに気づけないことです。
「まっすぐのつもりが、実は骨盤が傾いていた」「左右で筋肉の硬さが全然違った」というのは、非常によくある話です。
パーソナルトレーナーのような専門家は、あなたの体の状態を客観的に評価し、ミリ単位でフォームを修正してくれます。 たとえば、先ほどの胸椎ローテーション。 もしかしたらあなたは、無意識に腰まで一緒に回してしまっているかもしれません。
プロに「骨盤は固定したまま、もっと胸を開きましょう」と一言アドバイスされるだけで、トレーニングの質は劇的に向上します。
あなたの目標に合わせた最適なトレーニングを提案
また、プロの指導の価値は、あなたの目標に合わせてトレーニングを最適化してくれる点にもあります。 一口に「ゴルフ上達」といっても、その目標は人それぞれです。
- 「とにかく飛距離をあと20ヤード伸ばしたい」
- 「ラウンド後半でも崩れない安定性がほしい」
- 「アプローチの精度を高めたい」
専門家は、こうしたあなたの目標をヒアリングし、「それなら、下半身の強化も追加しましょう」「まずは姿勢の改善からですね」といった、あなただけのオーダーメイドプランを提案してくれます。 目標達成への最短ルートを、体のプロと一緒に歩めるのは、何よりの心強さと言えるでしょう。
ゴルフだけじゃない!マルトレが提供する「生涯動けるカラダ」という価値
正しいトレーニングでゴルフのパフォーマンスが上がるのはもちろんですが、その効果はゴルフ場の中だけにとどまりません。私たちがゴルフというスポーツを通じて目指しているのは、その先にある「生涯にわたって、自分の思い通りに動けるカラダ」を手に入れていただくことです。
なぜなら、年齢を重ねるにつれて、多くの人が「若い頃は当たり前にできていたこと」が難しくなるという現実に直面するからです。旅行先で長時間歩けなくなったり、趣味を諦めざるを得なくなったり、ときには日常生活の些細な動作にさえ不安を感じるようになるかもしれません。「生涯動けるカラダ」とは、そうした未来の不安から自分を解放し、いくつになってもやりたいことを諦めないで済む、いわば「未来の自分への最高の贈り物」です。
その価値は、まず日々の体の不調が減ることから実感できます。例えば、ゴルファーを悩ませる腰痛も、その多くは体幹の筋力不足や姿勢の悪さが原因です。腹圧を高めて体幹を安定させることは、腰への負担を直接的に減らすことにつながります。体幹がしっかりすれば、長時間座っていても疲れにくくなり、つらい肩こりの改善も期待できます。実際にマルトレのお客様からも「トレーニングを始めてから体の痛みがなくなり、毎日が快適になった」という声をいただいています。
さらに、動けるカラダは、あなたの趣味の時間をさらに充実させてくれます。長時間歩いても疲れにくくなるので旅行がもっと楽しくなりますし、ゴルフで鍛えたバランス感覚や回旋の動きは、テニスや野球、登山など、他の多くのスポーツにも活かせます。
ゴルフの上達が、あなたの人生全体の楽しみを増やしてくれる。これこそが、私たちが目指す「生涯動けるカラダ」づくりです。
今回はゴルフに本当に効く体幹トレーニングを解説しましたが、飛距離が伸びない原因は体幹だけとは限りません。
下半身や上半身も含めた身体全体の課題と解決策については、以下の記事で詳しく解説しています。

【パーソナルトレーナー解説】練習やゴルフレッスンだけじゃない、ゴルフであともう少し飛ばせる身体づくり
「あと少し前へ。平均飛距離を底上げしたい…」 「芯で当たる確率を上げて、再現性を高たい…」 「あと20ヤード...!」 「練習やレッスンを重ねても、なぜか飛距離が頭打ちになっている…」 こうした悩みは、スイング理論以前に、身体の「運動連鎖」がうまくいっていないサインかもしれません。 この記
まとめ:あなたの「もっと上手くなりたい」をマルトレで実現しませんか?
この記事では、多くのゴルファーが誤解しがちな体幹トレーニングの落とし穴と、ゴルフのパフォーマンスを本当に向上させるための正しいアプローチについて解説してきました。
ただ闇雲に鍛えるのではなく、「腹圧」を高めて体を安定させ、「胸椎」の柔軟性を引き出してしなやかな「回旋」を生み出すことが、上達への鍵となります。
今日紹介した自宅でのトレーニングは、そのための大切な第一歩です。
- 腰を痛めるプランクや体を固めるだけの腹筋運動は、逆効果になるため避けましょう。
- 体幹は体を固定するのではなく、下半身の力を伝える「回旋」のエンジンと捉えることが重要です。
- 飛距離を伸ばすには、体を内側から安定させる「腹圧」を意識することから始めましょう。
- 自宅では「バルーニング呼吸法」で腹圧を、「胸椎ローテーション」で回旋力を養うのが効果的です。
- プロの指導のもとで体のクセを理解し、メニューを最適化することが上達への最短ルートです。
もしあなたが「もっと飛距離を伸ばしたい」「安定したスイングを手に入れたい」と本気で願うなら、ぜひ一度、私たちマルトレのパーソナルトレーニングを体験してみてください。
ゴルフの知識が豊富なトレーナーが、あなたの体のクセや課題をプロの目で見抜き、目標達成に最適なトレーニングプランを提案します。
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